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スタッフブログ
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作成日:2024/10/11
【2024年最新版】社会保険労務士が解説!最低賃金の改定・運用事例について
社会保険労務士法人クリアパートナーズ所長の和田です。
2024年10月からの各都道府県の最低賃金の改定額が決定されました。
今回は最低賃金の運用事例等、ご紹介させていただきます。


最低賃金とは

 最低賃金は、原則として毎年10月に各都道府県において改定されます。
 各企業においては、正社員、契約社員、パート・アルバイト等の雇用形態を問わず、すべての従業員に最低賃金以上の賃金を支払わなくてはなりません。仮に雇用契約書で最低賃金を下回った金額で合意していたとしても、下回った部分は無効となります。
 まれに完全歩合制という給与形態を採用されているケースもありますが、その場合であっても、働いた時間数×最低賃金については、賃金を保証する必要がございます。


最低賃金の計算に含まれる賃金について

 通常、最低賃金の計算に含まれる賃金は、毎月決まって支給される基本給と各種手当になります。ただし、以下の賃金については最低賃金の計算から除外されます。

@慶弔⼿当など臨時的に⽀払われるもの
A賞与など1か⽉を超える期間ごとに⽀払われるもの
B所定労働時間を超える時間の労働に対する賃⾦(残業代、固定残業手当など)
C所定労働⽇以外の労働に対する賃⾦(休⽇出勤⼿当など)
D午後10時から午前5時までのあいだの労働に対する割増賃⾦(深夜⼿当など)
E精皆勤⼿当
F通勤⼿当
G家族⼿当
 
 各種手当については、その手当の名称にかかわらず、実際の運用で判断します。
例えば、 「家族手当」を扶養家族の有無にかかわらず全従業員に一律で⽀給している場合は、計算からは除外せずに、最低賃金の基礎となる賃金に含めます。
 
 なお、最低賃金の計算と、残業代等の割増賃金の計算では、基礎となる賃金に「含まれる賃金」と「除外される賃金」が異なることに注意が必要です。
例えば、割増賃金の計算ではE精皆勤手当を含めますが、最低賃金の計算では上記通り除外されます。逆に「住宅手当」は、割増賃金の計算では除外されますが、最低賃金の計算には含まれます。


運用事例

 最低賃金の運用について、5点ほど例を挙げて解説します。
 
1.最低賃⾦の改定(発効)年⽉⽇をまたぐ勤務の最低賃⾦について 
夜勤シフトが有る場合は、日を跨いで勤務することがあります。その場合は、0時以降は新しい最低賃金が適用されます。
 ※具体例:9⽉30⽇のシフトが21:00〜翌朝5:00で、最低賃金改定日が10月1日の場合
⇒21:00〜0:00は、改定前の最低賃⾦を適用、0:00〜5:00は、改定後の最低賃⾦を適⽤
 
2.複数の都道府県に事業所を持つ企業の最低賃⾦について
複数の都道府県に事業所を持つ企業の場合、それぞれの事業所の所在地の最低賃⾦が適⽤されます。異なる都道府県に転勤があった場合には、最低賃⾦が下回ることのないよう注意が必要です。
 
3.学⽣アルバイトの最低賃⾦の適用について
最低賃⾦は年齢や、正社員orアルバイトなどの雇⽤形態によって変わるものではありません。学⽣アルバイトであっても最低賃⾦は適⽤されます。
 
4.インターンシップでの最低賃⾦の適⽤について
インターンシップにおける実習が、⾒学や体験的なものであり、企業から業務に関する指揮命令を受けていない場合は、「労働者」に該当しないため最低賃⾦は適⽤外となります。
※行政通達(平成9・9・18基発636号)に、「一般に、インターンシップにおいての実習が、見学や体験的なものであり使用者から業務に係る指揮命令を受けていると解されないなど使用従属関係が認められない場合には、労働基準法第9条に規定される労働者に該当しないものであるが、直接生産活動に従事するなど当該作業による利益・効果が当該事業場に帰属し、かつ、事業場と学生の間に使用従属関係が認められる場合には、当該学生は労働者に該当するものと考えられる」とありますので参考にしてください。
 
5.派遣労働者の最低賃⾦の適⽤について
派遣労働者については、派遣元企業の所在地にかかわらず、派遣先企業の所在地の最低賃⾦が適⽤されます。


最後に

 具体的な運用等、お困りでしたらお気軽にお問い合わせください。