作成日:2025/04/11
【社会保険労務士が解説】社会保険の被扶養者の認定基準と手続きの流れについて
社会保険労務士法人クリアパートナーズ所長の和田です。
今回は、社会保険の被扶養者の認定基準と手続きの流れについてお伝えします。
社会保険の扶養とは
最初に社会保険の扶養とは、社会保険に加入している被保険者(会社員や役員など)が、家族を扶養に追加することで、その家族(被扶養者)は医療費や出産手当などの保険給付を受けられるようになります。扶養の認定を受けるためには、一定の要件と手続きを満たす必要があります。
なお社会保険の扶養と、税法上の扶養を混同して使われていることが多々ありますが、別の制度になります。
被扶養者追加の手続きの流れ
手続きの手順ですが、家族の追加を希望する被保険者から連絡があった場合、以下の被扶養者の情報を提出してもらう必要がございます。
・氏名・生年月日・性別・続柄
・扶養追加日と理由・・・多いのは被保険者が就職したことになります。
・同居の有無・・・別居の場合は、手続きを行うにあたり、別途仕送り額・回数などを証明する書類を求められます。
・年間見込み収入・職業
・共働きの場合は配偶者の収入
・マイナ保険証の利用状況・資格確認書の要否
被扶養者の範囲と年収要件、必要な書類について
次に被扶養者の範囲と収入要件についてです。被扶養者として認められるには、「被扶養者の範囲」と「収入要件」の両方を満たす必要があります。
●被扶養者の範囲
被保険者により生計を維持されている親族(配偶者、子、孫、兄弟姉妹など)
● 収入要件
同居している場合:見込み年収が130万円未満かつ被保険者の年収の半分未満
別居している場合:見込み年収が130万円未満かつ仕送り額未満
※60歳以上や障害者は180万円未満
被扶養者認定に必要な書類として、次のようなものがあります。常に提出が必要ということではなく、条件によっては提出が必要ない場合もあります。
・戸籍謄本または住民票(続柄の確認)
・所得証明書類(源泉徴収票、給与明細など)
・別居の場合:仕送りの証明(通帳のコピー、現金書留の控えなど)
被扶養者(異動)届の提出先と認定後の対応
被扶養者(異動)届の作成後の提出先になります。
(協会けんぽに加入の場合です。健康保険組合に加入の場合は、それぞれの組合にご確認ください。)
提出先:事務センターもしくは管轄の年金事務所
提出期限:事実発生から5日以内
提出方法:郵送または持参(事務センターは郵送のみ)
※配偶者が20〜60歳の場合は国民年金第3号手続きも同時に行います。
扶養の認定後の対応は、マイナ保険証の利用可否によって異なります。
●マイナ保険証が利用可能な場合
2〜5営業日で反映、マイナポータルで確認可能
●マイナ保険証が利用不可の場合
資格確認書が事業所に届く
最後に
扶養の状況については、年に1回、被扶養者資格の再確認があります。被扶養者が就職したときなど、扶養削除の手続き漏れに注意してください。
被扶養者の追加や削除は正確な書類と期限内の対応が必要です。扶養状況の定期確認を行い、税制上の扶養との制度の違いを含めて、理解を深めておくことが大切です。
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