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作成日:2025/09/05
【2025年10月施行】改正育児・介護休業法の実務対応について社会保険労務士が解説します
 社会保険労務士法人クリアパートナーズ所長の和田です。
今回は、2025年10月施行の改正育児・介護休業法の実務対応について解説します。
 





▼この記事を書いた人
代表社員 和田 稔(Wada Minoru)
早稲田大学教育学部卒業。大学卒業後、約17年間大手企業にて店舗業務や婦人服の商品企画などの社会人経験を積み、その後社会保険労務士の道へ。令和2年に社会保険労務士法人クリアパートナーズを設立。一般企業での経験を活かし、幅広い業種・職種・企業規模のお客様のご支援実績多数あり。



1. 改正の趣旨

 育児と仕事の両立を支援するため、育児・介護休業法が改正され、2025年10月1日より「柔軟な働き方の導入」と「個別対応の強化」が企業に義務付けられます。多様な育児環境に対応できるよう、企業は従業員それぞれの事情に寄り添った制度設計が求められます。
 
 

2. 柔軟な働き方の実現に向けた措置

【対象者】
 3歳から小学校就学前の子を養育する従業員(有期契約・短時間労働者含む/日雇労働者は除外)
 
【企業に求められる義務】
以下の5項目から2つ以上の措置を選択・導入し、就業規則の整備を行ってください。
1.始業時刻等の変更(時差出勤制度の導入)
2.テレワーク等(月間10日以上)
3.保育施設の設置運用等(保育施設の設置運営等に準ずるベビーシッターの手配等を含む)
4.就業しつつ子を養育することを容易にするための休暇の付与(年間10日以上)
5.短時間勤務制度(1日の所定労働時間を原則6時間とする)
 
※2.と4.は、原則時間単位で取得可とする必要があります。
※措置は職種や事業所ごとに適用することが可能です。
 
なお労使協定を締結することで、下記従業員は適用除外とすることができます。
・雇用期間1年未満
・所定労働日数が週2日以下
・時間単位の支援休暇取得が困難な業務
 
【制度の周知】
 3歳未満の子を養育する従業員には、子が3歳になる前(子が1歳11か月に達した日の翌々日〜2歳11か月に達した日の翌日まで)に、以下の内容について周知する必要があります。
<周知項目>
・会社が導入している措置(2つ以上)の内容
・対象措置の申出窓口
・所定外労働(残業の免除)・時間外労働・深夜業の制限に関する制度内容

 周知方法については、面談(オンライン可)もしくは書面の交付になりますが、従業員が希望した場合は、メールやFAXでも可能です。
 
  

3.仕事と育児の両立に関する個別の意向聴取と配慮義務(両立支援の観点)

【個別の徴収の時期】
 従業員本人もしくは配偶者の妊娠・出産の申し出時と、子が3歳の誕生日の1か月前までの1年間(1歳11か月に達した日の翌々日から2歳11か月に達する日の翌日まで)となります。

 <聴取内容>
・どの時間帯で働きたいか(始業および終業時刻)
・どこで働きたいか(希望する就業場所)
・どの制度をどの程度の期間利用したいか(両立支援制度等の利用期間)
・業務量、労働条件等の見直しを希望するか
 
 なお特別な配慮が必要な場合、会社は、聴取内容に基づき、業務量や勤務地の調整等の配慮を行わなければなりません。障害児・医療的ケア児やひとり親家庭については、追加で柔軟な対応が望ましいとされています。
 特別な配慮が困難な場合は、その理由を丁寧に説明することが必要です。
 
 

4.人事担当者の対応ポイント

 現在の社内制度、運用の実態を整理して、5つの中から2つ以上の支援策を選定する必要があります。選定後、就業規則の改定・届出のために、労使協議の準備を行います。また、対象従業員への適切な周知・意向確認の実施時期について管理することも必要です。くれぐれも制度利用の抑制となる言動(不利益示唆・前例の強調等)には注意してください。

最後に

 今回の改正では、画一的な制度設計では不十分であり、個別対応と柔軟性が強く求められます。育児と仕事の両立を社会全体で支えるために、従業員と企業がお互いに納得できる仕組み作りを進めてください。施行日(2025年10月1日)までに体制整備を完了させましょう。
 気になる点やお困りごとがありましたら、お気軽にお問合せください。



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