申出のタイミングは社員によって様々で、妊娠報告と同時に申出があるケースもあれば、出産後に突然申出がある場合もあります。
なお企業は妊娠・出産の報告を受けた時点で、育休制度や今後の働き方について個別周知・意向確認を行う義務があります。
そのため、育休申出のタイミングが早い場合・遅い場合どちらも想定し、柔軟に対応しましょう。
【STEP2:育休制度・給付金・今後の働き方等の説明と意向確認】
Step1の直後、または日を改めて以下の点を丁寧に説明します。
▼ 説明すべき項目
・育児休業制度(自社ルールも含む)
・育児休業給付金
・出生時育児休業給付金(産後パパ育休)
・出生後休業支援給付金(一定条件満たせば受給可)
・申請書類・提出期限
・育休中の連絡方法
▼ 意向確認すべき項目
・復帰後の働き方について
(勤務時間帯、勤務地、業務量など)
・(産後パパ育休の場合)育休中の就労意向※について
※企業から就労を求めることはできませんし、就労には規程の定めや労使協定の存在が前提となります。また、産後パパ育休でない通常の育休の場合は、育休中の就労は原則として不可となります。
なお、聞き取った意向については、必ず対応しなければならない義務はありませんが、自社の状況に応じて配慮することが望まれます。
【STEP3:正式申請書類の提出・受理(書面必須)】
育休の申請と、企業側の通知は書面で残すことが必須です。給付金申請にも添付書類として必要となります。
▼ 社員に提出してもらう書類
・育児休業申出書(任意書式でOK ただし記載必須事項あり)
・(産後パパ育休のみ)育休中の就労希望がある場合→希望内容の書面
(就労可能日・時間帯・業務内容など)
申出書に記載必須の内容は以下4点です。
・申出年月日
・労働者の氏名
・申出にかかる子の氏名、生年月日、社員との続柄
・育児休業の開始予定日と終了予定日
▼ 企業が交付する書類
・育児休業取扱通知書(任意書式でOK こちらも記載必須事項あり)
・産後パパ育休中の就労希望※があった場合→回答書(任意書式)
※就労できる時間には上限がありますので注意してください。
通知書に記載必須の事項は以下2点です。
・育児休業申出を受けた旨
・育児休業開始予定日および終了予定日
▼ 社内周知(ハラスメント防止も含む)
受理後は社内へ必要な範囲で周知します。
なお、育休取得者への不利益取扱いやハラスメント(パタニティハラスメント:男性労働者に対する育児等を理由とするハラスメント)は法令で禁止されておりますので、企業方針を併せて周知してトラブルを未然防止しましょう。
【STEP4:企業が行うべき公的手続き】
育休取得に際し、企業が行う手続きは次の2つです。
@社会保険料の免除申請
本人負担・企業負担ともに免除となります。
育休開始後に申請可能となりますが、取得期間によっては免除可否が変わるため要確認です。
A給付金の申請
・通常の育休→育休開始2カ月経過後より2カ月ごとに申請
・産後パパ育休→原則、出生後8週間経過後に申請
・一定条件を満たす場合→出生後休業支援給付金の申請も可
基本的に育休取得中は社員の収入がなくなります。また審査にも一定の時間を要しますので、申請漏れ・遅れには十分気を付けましょう。
【STEP5:育休中のフォローと復帰準備】
育休期間中も定期的なコミュニケーションを保ちましょう。
▼ 育休中のフォロー内容
・月1回程度の連絡(近況確認・給付金通知書の交付など)
・業務の重要情報があれば共有
・復帰1カ月前の面談(復帰後の働き方をすり合わせ)
育休中は社会との接点が薄れやすく、コミュニケーション不足は復帰時のトラブルにつながるため、早めに双方の認識を揃えておくことが大切です。