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作成日:2025/12/19
男性社員から「育休を取りたい」と言われた時の初動対応5ステップ【社会保険労務士が解説】
 社会保険労務士法人クリアパートナーズ 社会保険労務士の寺山です。
 男性社員から「育休を取りたい」との申出があった場合、「最初に何を確認し、どのような流れで進めればいいのか?」と悩む担当者の方は非常に多くいらっしゃいます。
特に社員数がそこまで多くない中小企業では、
・説明不足による誤解
・書面管理の不備
・手続き漏れ
が原因で、後々トラブルに発展するケースが少なくありません。

 本記事では、男性社員から育休の申出を受けたときに「企業がやるべきこと」を、社労士の実務経験に基づき「確認 → 説明 → 申請 → 手続 → フォロー」の5ステップに整理して解説します。
  

寺山さん写真


▼この記事を書いた人
寺山 晋太郎(Shintarou Terayama)
一橋大学社会学部卒業。大学卒業後、鉄道会社にて車掌や運転士といった現場仕事から労務管理・社員教育まで幅広い業務を担当。自身のライフステージの変化により、企業活動における「人」にフォーカスする社会保険労務士に魅力を感じ資格取得。現在は、社会保険労務士として「人」を活かし「会社」を発展させていくことを大切に、幅広い業種・職種・企業規模のお客様の支援に従事。


1. この記事で分かること

  • 男性社員から育休の申し出を受けた際の適切な対応の流れ5ステップ
  • 必ず説明すべき制度内容と社内ルール
  • トラブルを未然に防ぐ注意点
  • 専門家サポートのご案内
 

2. 対応は「確認→説明→申請→手続→フォロー」

企業は、原則として、社員から育児休業の申し出を受けた場合、性別にかかわらず取得させる義務があります。
そのため、申出を受けた段階で以下5ステップに沿って進めることが大切です。
 


◆ STEP1:申出内容の事実確認  
◆ STEP2:育休制度・給付金・今後の働き方等の説明と意向確認
◆ STEP3:正式申請書類の提出・受理  
◆ STEP4:公的手続きの実施
◆ STEP5:育休中のフォローと復帰準備  



【STEP1:申出内容の事実確認】

申出を受けたら、まず次の点を確認します。

▼ 確認すべき項目
・育休の開始日・終了日(予定)
・産後パパ育休か通常育休か(両方取得も可)
・分割取得の希望
・出産予定日・出産日
・配偶者の育休予定
・育休前後の有給休暇の希望

申出のタイミングは社員によって様々で、妊娠報告と同時に申出があるケースもあれば、出産後に突然申出がある場合もあります。
なお企業は妊娠・出産の報告を受けた時点で、育休制度や今後の働き方について個別周知・意向確認を行う義務があります。
そのため、育休申出のタイミングが早い場合・遅い場合どちらも想定し、柔軟に対応しましょう。



【STEP2:育休制度・給付金・今後の働き方等の説明と意向確認】

Step1の直後、または日を改めて以下の点を丁寧に説明します。

▼ 説明すべき項目
・育児休業制度(自社ルールも含む)
・育児休業給付金
・出生時育児休業給付金(産後パパ育休)
・出生後休業支援給付金(一定条件満たせば受給可)
・申請書類・提出期限
・育休中の連絡方法

▼ 意向確認すべき項目
・復帰後の働き方について
(勤務時間帯、勤務地、業務量など)
・(産後パパ育休の場合)育休中の就労意向※について 
※企業から就労を求めることはできませんし、就労には規程の定めや労使協定の存在が前提となります。また、産後パパ育休でない通常の育休の場合は、育休中の就労は原則として不可となります。

なお、聞き取った意向については、必ず対応しなければならない義務はありませんが、自社の状況に応じて配慮することが望まれます。



【STEP3:正式申請書類の提出・受理(書面必須)】

育休の申請と、企業側の通知は書面で残すことが必須です。給付金申請にも添付書類として必要となります。
 
▼ 社員に提出してもらう書類
・育児休業申出書(任意書式でOK ただし記載必須事項あり)
・(産後パパ育休のみ)育休中の就労希望がある場合→希望内容の書面
(就労可能日・時間帯・業務内容など)
 
申出書に記載必須の内容は以下4点です。
・申出年月日
・労働者の氏名
・申出にかかる子の氏名、生年月日、社員との続柄
・育児休業の開始予定日と終了予定日

▼ 企業が交付する書類
・育児休業取扱通知書(任意書式でOK こちらも記載必須事項あり)
・産後パパ育休中の就労希望※があった場合→回答書(任意書式)
  ※就労できる時間には上限がありますので注意してください。
 
通知書に記載必須の事項は以下2点です。
 ・育児休業申出を受けた旨
 ・育児休業開始予定日および終了予定日

▼ 社内周知(ハラスメント防止も含む)
受理後は社内へ必要な範囲で周知します。
なお、育休取得者への不利益取扱いやハラスメント(パタニティハラスメント:男性労働者に対する育児等を理由とするハラスメント)は法令で禁止されておりますので、企業方針を併せて周知してトラブルを未然防止しましょう。



【STEP4:企業が行うべき公的手続き】
育休取得に際し、企業が行う手続きは次の2つです。
 
@社会保険料の免除申請
本人負担・企業負担ともに免除となります。
育休開始後に申請可能となりますが、取得期間によっては免除可否が変わるため要確認です。
 
A給付金の申請
・通常の育休→育休開始2カ月経過後より2カ月ごとに申請
・産後パパ育休→原則、出生後8週間経過後に申請
・一定条件を満たす場合→出生後休業支援給付金の申請も可
 
基本的に育休取得中は社員の収入がなくなります。また審査にも一定の時間を要しますので、申請漏れ・遅れには十分気を付けましょう。



【STEP5:育休中のフォローと復帰準備】

育休期間中も定期的なコミュニケーションを保ちましょう。
 
▼ 育休中のフォロー内容
・月1回程度の連絡(近況確認・給付金通知書の交付など)
・業務の重要情報があれば共有
・復帰1カ月前の面談(復帰後の働き方をすり合わせ)
 
育休中は社会との接点が薄れやすく、コミュニケーション不足は復帰時のトラブルにつながるため、早めに双方の認識を揃えておくことが大切です。
   

3.  よくあるトラブルと注意点

対応で特に注意すべきポイントをまとめます。
 
@社員とのコミュニケーション不足
自社の育児休業制度や社員本人の意向などはしっかりと説明・確認するようにしましょう。
後々「話が違う」となることを防ぐためです。

A育休申出・受理通知書面を残していない
任意書式で問題ありませんが、必要事項を網羅した書面化は必須です。

B取得者への不利益取り扱い・ハラスメント
いったん発生すると深刻になりがちな問題ですので、企業方針を周知して防止を図ることが大事です。

C給付金申請漏れ・申請遅れ
期日管理が重要です。
 

最後に:専門家サポートのご案内

育児休業制度は法改正が多く、中小企業では担当者に負担が集中しがちです。
 
弊社では
・各種手続き代行
・育休対応フローの整備  
・男性育休を含む育児介護休業法の研修  
 
を行っております。
 
育児休業の対応に不安がある企業様は、どうぞご気軽にご相談ください。
初回相談は無料で承っております。オンラインでも可です。
 
▶︎ご相談はこちらから(初回相談無料)



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お電話(03-6457-8856)もしくはこちらよりお問い合わせください。

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