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作成日:2026/01/09
【2026年初時点】労働基準法改正の最新動向と実務への影響について社会保険労務士が解説します
※本記事は、厚生労働省・労働政策審議会資料を基にした解説記事です。2026年1月時点では労働基準法改正は未確定ですが、企業実務に影響が大きい論点について、人事労務担当者向けに整理しています。
 

はじめに|労働基準法改正はいつ?人事労務担当者が今知っておくべきポイント

  • 結論サマリー(まずここだけ)
    • 労働基準法改正は2026年初時点では未確定です。そのため、改正法がいつ施行されるかも現時点では未定です。
    • ただし、法定休日の特定、連続勤務の制限、勤務間インターバル制度の義務化、副業時の割増賃金計算方法、年次有給休暇取得時の賃金計算方法の統一など、人事労務実務に直結する論点の見直し議論はすでに具体化しています。
    • 「改正を待つ」のではなく、今の制度が将来も通用するかを点検する段階に入っています。
「労働基準法の改正はいつから始まるのか」「自社の人事・労務管理にどのような影響があるのか」――こうした疑問を持つ人事労務担当者の方は多いのではないでしょうか。
2026年初現在、労働基準法改正はまだ確定していません。報道では2026年通常国会への法案提出は見送られたとされており、仮に改正が実現するとしても、施行は早くて2028年以降になるかと思われます。

しかし、厚生労働省の労働政策審議会では、
  • 法定休日の特定
  • 連続勤務日数の上限規制
  • 勤務間インターバル制度の義務化
  • 副業・兼業時の労働時間管理
  • 年次有給休暇取得時の賃金計算の取扱い
といった、人事労務実務に直結するテーマについて、すでに具体的な制度設計レベルの議論が進んでいます。

本記事では、審議会資料をもとに、
  • 現行制度はどうなっているのか
  • 何がどの方向で見直されようとしているのか
  • 人事労務担当者は今から何を意識すべきか
を、分かりやすく解説します。
「改正されてから慌てないため」に、ぜひ最後までご確認ください。
 

寺山さん写真


▼この記事を書いた人
社会保険労務士 寺山 晋太郎(Shintarou Terayama)
一橋大学社会学部卒業。大学卒業後、鉄道会社にて車掌や運転士といった現場仕事から労務管理・社員教育まで幅広い業務を担当。自身のライフステージの変化により、企業活動における「人」にフォーカスする社会保険労務士に魅力を感じ資格取得。現在は、社会保険労務士として「人」を活かし「会社」を発展させていくことを大切に、幅広い業種・職種・企業規模のお客様の支援に従事。
 


1.法定休日の特定と連続勤務規制の見直し

法定休日は「特定すべきもの」へ

現行法では、法定休日をあらかじめ特定することは義務ではなく、通達による指導レベルにとどまっています。そのため、シフト制などでは
  • 法定休日がどの日なのか分かりにくい
  • 休日労働が発生した際の割増賃金計算に迷う
といった問題が生じがちです。
この点について、労働者の健康確保や私的生活の尊重といった観点から、あらかじめ法定休日を特定すべきという方向で議論が進んでいます。今後は、就業規則やシフト表で「法定休日」を明確にする実務が求められる可能性があります。
 

13日を超える連続勤務の禁止

現行制度では、36協定を締結して法定休日労働を可能とした場合でも、理論上は48日間の連続勤務が認められてしまいます。
しかし、審議会において、連続勤務は
  • 2週間以上の連続勤務はストレス強度が非常に高い
  • 健康障害のリスクが大きい
と明確に問題視されており、36協定の有無にかかわらず「13日を超える連続勤務を禁止」する方向で検討されています。

▶ シフト制・繁忙期対応が多い業種では、勤務設計の抜本的見直しが必要になる可能性があります。
 
   

2.勤務間インターバル義務化の可能性

勤務間インターバルとは、前日の終業時刻から翌日の始業時刻までに一定の休息時間を確保する制度です。
EU諸国では11時間インターバルが罰則付きで義務化されており、日本でも
  • 医師(24時間以内に9時間、46時間以内に18時間)
  • 自動車運転業務(下限9時間、11時間以上が基本)
ではすでに義務化されています。
現時点では、すべての業種で直ちに義務化されると決まったわけではありませんが、義務化を視野に入れた法規制強化が検討されています。

▶ 深夜残業・早朝出勤を前提とした働き方や、遅番―早番といったシフト運用は今後見直しが必要になる可能性があります。
 

3.法定労働時間「週44時間特例」の廃止

原則的な週の所定労働時間は40時間ですが、一部の業種・常時10人未満の事業場では
  • 週44時間まで労働可能
という特例が認められています。
しかし、本特例の対象となる事業場の約9割が、実際にはこの特例を利用していないという実態を踏まえ、制度としての必要性が低下しているとして、廃止する方向で議論が進んでいます。

▶ 対象業種(商業、保健衛生、飲食・接客業など)で本特例を利用している企業では、 就業規則、シフト、人員配置を事前に見直しておくことが望まれます。
 
 

4.副業・兼業時の労働時間計算ルールの見直し

現行制度の課題

現行法では、労働者から副業・兼業の申告を受けた場合は
  • 労働時間を通算
  • 通算の結果、法定労働時間を超えた部分は割増賃金の支払い対象
とされています。
しかし、この原則的な通算方法では
  • 本業・副業それぞれの労働時間を日ごとに把握する必要がある
ため、給与計算時の事務負担が非常に大きいという問題があります。


見直しの方向性

現在の議論では、
  • 労働時間の通算は継続する
  • ただし、通算の目的は「従業員の健康管理」に限定
  • 割増賃金の計算には利用しない
という方向性が示されています。

▶ 実現すれば、副業を認める企業の実務負担が大幅に軽減される可能性があります。


5.つながらない権利のガイドライン化

「つながらない権利」とは、
  • 勤務時間外の業務連絡
  • 即時対応の強要
から労働者を守る考え方です。
これについては、直ちに法律で義務化するのではなく、ガイドラインを策定する方向で検討されています。

▶ 人事労務だけでなく、管理職のマネジメント意識改革が重要なテーマとなります。


6.年次有給休暇制度の見直し

 年次有給休暇取得時の賃金計算方法の一本化

現行制度では、年次有給休暇取得時の賃金計算方法について複数認められており、特に日給・時給制では、どの方法をとるかによって支給額に大きな差が生じる場合があります。
この点について、
  • 「所定労働時間働いた場合に支払われる通常の賃金」を支払う
という方式に一本化する方向で議論が進んでいます。
 

年5日取得義務の見直し

現行制度では、付与期間の終了直前に復職した労働者(例えば付与期間が4月〜3月、3月に出勤日が5日以上ある状態で育休から復職するケース等)であっても、年5日の取得義務が発生しますが、この点についても再検討される見込みです。


まとめ|人事労務担当者が今から意識すべきこと

今回の労働基準法改正議論に共通するキーワードは、
  • 健康確保
  • 分かりやすさ
  • 実効性
です。
  • 改正動向を正しく理解する
  • 自社への影響を整理する
  • 就業規則など自社制度を点検する
といった準備型の対応が、将来のトラブル防止につながります。


最後に:社労士によるサポートのご案内

  • 労働基準法改正を見据えた影響整理 ・就業規則・シフト設計の見直し等
初回相談は無料で承っております。オンラインでも可です。
「自社の場合はどうなるのか分からない」という段階からでも、お気軽にご相談ください。
 
▶︎ご相談はこちらから(初回相談無料)



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