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作成日:2026/01/23
【2026年10月施行】カスタマーハラスメント対策義務化|指針案のポイントを社労士が解説
「顧客からの行き過ぎた要求に、会社はどう対応すべきか?」

令和8年(2026年)10月1日より、「カスタマーハラスメント(カスハラ)」に対して雇用管理上必要な措置を取ることが事業主の法的義務となりますが(一部自治体では条例等により既に一部義務化)、その適切かつ有効な実施のため、厚生労働省から「カスハラ対策の指針案」が示されました。
本記事では、指針案の核心となる「カスハラの定義」から「企業が講ずべき具体的な5つの措置」まで、人事担当者が知っておくべき実務のポイントを解説します。
 
 

寺山さん写真


▼この記事を書いた人
社会保険労務士 寺山 晋太郎(Shintarou Terayama)
一橋大学社会学部卒業。大学卒業後、鉄道会社にて車掌や運転士といった現場仕事から労務管理・社員教育まで幅広い業務を担当。自身のライフステージの変化により、企業活動における「人」にフォーカスする社会保険労務士に魅力を感じ資格取得。現在は、社会保険労務士として「人」を活かし「会社」を発展させていくことを大切に、幅広い業種・職種・企業規模のお客様の支援に従事。
 


1. 職場におけるカスタマーハラスメントの定義

指針案では、以下の3つの要素をすべて満たすものをカスハラと定義しています。
  1. 顧客等の言動であること 
  2. 業務の性質等に照らし、社会通念上許容される範囲を超えたものであること 
  3. 労働者の就業環境が害されること 
なお、客観的に見て正当な理由に基づく苦情(クレーム)はカスハラには該当しません。また、SNS等のインターネット上で行われる言動も対象に含まれます。

   

2. 「社会通念上許容される範囲を超えた」言動の例

「言動の内容」または「手段・態様」が不適当なものが該当します。
  • 言動の内容が不適当な例:
    • 商品・サービスと無関係な要求(性的要求、プライバシーに関わる要求など) 
    • 契約範囲を著しく超えるサービスの要求 
    • 不当な損害賠償請求 
  • 手段・態様が不適当な例:
    • 身体的な攻撃(暴行、傷害、物を投げつける等) 
    • 精神的な攻撃(脅迫、名誉毀損、侮辱、土下座の強要、SNS等へのプライバシー情報の投稿等) 
    • 継続的・執拗な言動(しつこい電話やメール、揚げ足取り、執拗な責め立て等) 
    • 拘束的な言動(長時間にわたる居座りや電話による拘束)
 

3. 事業主が講ずべき雇用管理上の措置

企業は以下の措置を適切かつ有効に実施する必要があります。特に「不利益な取扱いの禁止」については、就業規則等への明記が求められております。

@ 方針の明確化と周知・啓発
  • カスハラには毅然とした態度で対応し、労働者を保護する方針を明確にすること
  • 現場での対処内容(報告手順、複数人での対応、録音・録画、警察への通報基準など)を定め、周知すること
A 相談窓口の設置と体制整備
  • 相談窓口をあらかじめ定め、労働者に周知すること
  • 担当者が相談者自身の認識や心身の状況に配慮して適切に対応できるよう、マニュアル整備や研修を行うこと
B 事後の迅速かつ適切な対応
  • 相談があった際は、迅速かつ正確に事実関係を確認すること
  • 事実確認によりカスハラが確認できた場合、被害者と加害者を引き離す配置転換や、メンタルヘルスケアを実施すること
  • 【重要】 自社の労働者が他社の労働者に対してカスハラを行った事実が確認された場合、就業規則等の服務規律の定めに基づき、懲戒処分など必要な措置を講ずることが望ましいとされています。
C 悪質な事案への抑止措置
  • 特に悪質なものに対し、警察への通報、警告文の発出、サービスの提供拒絶、出入り禁止措置などの方針を定め、体制を整えること
D プライバシー保護と不利益取扱いの禁止(就業規則等への規定)
  • 相談者のプライバシー(性的指向やジェンダーアイデンティティ等の機微なものも含む)保護のための必要な措置を講ずること
  • 【重要】 カスハラの相談をしたことや、事実確認に協力したこと等を理由として、解雇等の不利益な取扱いをされない旨を就業規則等に規定し、労働者に周知・啓発することが必要です。
 

4. 人事担当者が留意すべきその他のポイント

  • 派遣労働者の保護: 派遣労働者を受け入れている企業については、派遣労働者も自社の労働者と同様の措置を講じる義務があります。
  • 障害者への配慮: 障害を理由とした合理的配慮の提供や社会的障壁の除去を求める言動は、原則としてカスハラには当たりません。建設的な対応が求められます 。
  • 対応力の向上: 労働者自身が商品・サービスを深く理解し、接客スキルを高めることも、カスハラ被害を未然に防ぐ重要な取組とされています。

まとめ:早めの体制構築を

令和8年10月の適用に向け、企業には「従業員を守る」ための毅然とした姿勢と、具体的なルール作りが求められています 。

弊所では、カスハラ対応マニュアルの作成支援や、就業規則への記載、従業員向け研修の実施をサポートしております。対策についてご不安な方は、ぜひ一度ご相談ください。
 
 
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