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労務コラム
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作成日:2026/06/26
【算定基礎届の書き方ガイド】対象外の基準や注意すべき特殊例についても社労士が解説します
 社会保険労務士法人クリアパートナーズ 社会保険労務士の寺山です。
 今回の記事では、対象外の基準や注意すべき特殊例も併せて、算定基礎届の書き方について解説します。
 

寺山さん写真


▼この記事を書いた人
社会保険労務士 寺山 晋太郎(Shintarou Terayama)
一橋大学社会学部卒業。大学卒業後、鉄道会社にて車掌や運転士といった現場仕事から労務管理・社員教育まで幅広い業務を担当。自身のライフステージの変化により、企業活動における「人」にフォーカスする社会保険労務士に魅力を感じ資格取得。現在は、社会保険労務士として「人」を活かし「会社」を発展させていくことを大切に、幅広い業種・職種・企業規模のお客様の支援に従事。
 


1.算定基礎届(定時決定)について

 算定基礎届(定時決定)は、健康保険法および厚生年金保険法に基づき、年に一度、被保険者の実際の報酬と登録されている「標準報酬月額」の乖離を是正するために行う必要がある手続きです。原則として4月〜6月に支払った賃金を基に算出され、ここで決定される標準報酬月額は、原則として同年9月から翌年8月までの1年間の社会保険料計算の基礎となるとともに、従業員の将来的な年金受給額にも影響を及ぼす、とても重要な手続きとなります。
 今年度の提出期限は例年通り7/10(金)となります。期限後も申請は受け付けてくれるようですが、前述の通り従業員にとってとても重要な手続きとなりますので、可能な限り期限内に提出するようにしましょう。なお、申請は電子申請が推奨されております。
 


2.対象者

 算定基礎届の対象となるのは、7月1日現在で被保険者資格を有する全従業員となりますが、以下のいずれかに該当する従業員については提出不要となります。

@ 6月1日以降に資格取得した者
A 7月の随時改定(月変)に該当する者
B 8月、9月の随時改定(月変) に該当する予定の者

 なお上記A・Bに該当する従業員については、電子申請の場合は該当者を除いて申請すればOKですが、紙媒体による届け出の場合は該当者の報酬月額欄を空欄にしたうえで、備考欄の「3.月額変更予定」を丸で囲んで提出する必要があります。
 ただ上記の場合であっても、Bについては蓋を開けたら8月or9月の随時改定に該当しなかったという場合は、速やかに算定基礎届を提出しなければなりませんので注意が必要です。
 
 

3.算定基礎届の計算に含めるもの

 標準報酬月額の対象となる「報酬」とは、名称を問わず、労働の対価として受ける全てのものを指します。また金銭に限らず、食事、住宅など現物で支給されるものも含みます。ただし、臨時に受けるものや年3回以下支給される賞与などは報酬に含みません。
 詳細は以下の通りです。
  • 報酬とならないもの:大入袋、見舞金、出張旅費、傷病手当金など
  • 現物給与:食事や住宅を現物で提供している場合は、都道府県ごとに定められた価額に換算して報酬に参入します(本人負担分がある場合は当該価額から差し引きます)。通勤定期券についてはその全額を報酬に算入します(複数月分の定期券の場合は1カ月当たりの額を算出して算入)。
  • 年4回以上の賞与:前年7月〜当年6月までの1年間に4回以上支払われた賞与は、その合計額を12で除した額を「報酬」に加算します。なおその場合、備考欄「9. その他」を○で囲み、賞与の支払月と合計額の12分の1の額を記入することが必要です(例:「賞与 7,12,3,6月 75,000円」)
  

4.支払基礎日数について

 支払基礎日数は、報酬支払の根拠となる日数のことをいい、この日数が一定以上の月を、標準報酬月額の計算に使用します。時給者や日給者であれば実際の出勤日数(年次有給休暇の日数含む)、月給制の場合は原則として歴日数となります(欠勤控除がある場合は、その日数を所定の日数から差し引きます)。
 標準報酬月額の計算に用いる支払基礎日数の基準については以下の通りです。
  1. 一般的な被保険者: 17日以上の月を対象とします。17日以上の月がない場合は、従前の標準報酬月額となります。
  2. 短時間就労者:短時間就労者とは、名称のいかんを問わず、その会社の正規社員よりも労働時間が短い者をいいます。短時間就労者の場合、基準となる日数が2つ(17日・15日)ありますので注意しましょう。なお短時間就労者については、届出の際、備考欄の「7.パート」を丸で囲む必要があります。
    • ステップ1:17日以上の月があるか → あれば、17日以上の月のみで算定します。
    • ステップ2:17日以上の月が1カ月もない → 15日以上の月があれば、15日以上の月のみで算定します。
    • ステップ3:15日以上の月も1カ月もない → 従前の標準報酬月額となります。
  3. 短時間労働者:短時間労働者とは、特定適用事業所(厚生年金保険の被保険者数が51人以上の事業所)において、1週間の所定労働時間または1カ月間の所定労働日数が通常の労働者の4分の3未満(両方満たす場合も含む)の労働者で、以下の要件をすべて満たす者をいいます。
    • 週所定労働時間が20時間以上
    • 雇用期間が継続して2カ月超見込まれること
    • 賃金月額が88,000円以上(本条件は今年10月撤廃予定)
    • 学生ではないこと
この短時間労働者については、支払基礎日数が11日以上の月で算定することとなります。11日以上の月がない場合は、従前の標準報酬月額となります。なお、短時間労働者についても届出の際に備考欄の「6.短時間労働者」を丸で囲む必要があります。短時間就労者との混同に要注意です。
 

5.その他特殊なケース

  特殊な事例を一部ご紹介します。
 
1.途中入社者の取り扱い
 給与計算期間の途中に資格取得し、日割り計算により1カ月分の給与がフルに支給されていない場合は、その月を除いて算定します。例えば末締め・翌月支給の場合で4月途中に入社した場合、5月支給給与は日割となるため算定に含めないこととなります。
 この場合の申請については、備考欄の「4.途中入社」を丸で囲んだうえで、「9.その他」に資格取得年月日および給与の締め・支払日を記入して提出します。

2.算定の対象となる期間の途中で70歳となった場合
 70歳になると、厚生年金保険の被保険者ではなくなりますが、在職老齢年金の支給調整のため、引き続き報酬額(70歳以上被用者にかかる標準報酬月額相当額)の報告は必要になります。
 算定基礎届の対象となる期間の途中に70歳となった場合は、健康保険の標準報酬月額と70歳以上被用者にかかる標準報酬月額相当額とで算出方法が異なるので、注意が必要です。
 具体的には、
  • 健康保険の標準報酬月額:通常通り算出。
  • 70歳以上被用者にかかる標準報酬月額相当額:算定期間のうち、70歳以上となった以降1カ月分の給与が支給された期間のみを対象とします。例えば末締め・翌月支給で4/15に70歳に到達した場合(=誕生日が4/16)は、5月支給給与までは70歳未満の分の給与を含んでいる(5月支給給与の計算期間4/1〜4/30のうち、4/1〜4/14)ため算定に含めません。よって、このケースでは6月支給給与のみで算出することとなります。この場合の申請については、備考欄の「1.70歳以上被用者算定」を丸で囲んで70歳到達日以後1カ月分の給与支給があった月を記入するとともに、「9.その他」欄に給与の締め支払日を記入します。

3.4〜6月が繁忙期にあたるなどの場合
 算定基礎届は4〜6月に支払われた給与を基に算出しますが、その時期が繁忙期にあたるなどの理由で、当該時期を基に算出すると著しく高い標準報酬月額になってしまう場合、一定の条件を満たせば年間平均により算出することができます。その場合の条件は以下の通りです。
  • 年間平均との差が2等級以上:4〜6月の報酬の月平均と、年間平均(前年7月〜当年6月)とに2等級以上の差があり、かつ、それが例年見込まれることが必要です。
  • 本人の同意と事業主の申出:年間平均により算出する場合には、被保険者本人の同意と事業主の申出が必要です。具体的には、「事業主の申立書」「本人の同意」を書面で提出しますが、「本人の同意」には年間平均での算出過程を詳しく記入する必要があります。
 

まとめ

 算定基礎届は、4〜6月の報酬を基に9月以降の社会保険料の基礎となる標準報酬月額を年に一度改定する重要な手続きです。7月10日までに原則全員分(一部除外あり)を提出し、働き方に応じた支払基礎日数等で計算します。
 本記事では重要なポイント(目的、時期、対象者、計算ルールなど)を記載しましたが、特殊なケースについては全てをご説明できませんでしたので、日本年金機構が発行しているガイドブック(santei.guide.book.pdf)も併せてご参照ください。
 
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