ネット時代の労務トラブルと「初期消火」
長年、社会保険労務士として培ってきた知識や勉強してきたことを土台に、経営者や担当者の皆様が目の前で困っていることをどうやって解決に導くか、それを第一に考えて行動しています。その結果として、お客様に「ありがとう」と言われて報酬をいただけることにやりがいを感じています。
当法人のお客様は100%が法人です。現在寄せられる労務相談の中で最も多いのは、いわゆる「問題社員対応」です。同じ分類に入るハラスメント対応も含めると、全体の7割から8割を占めます。「問題社員」と呼ばれる方は昔から存在したはずですが、かつては会社側が頭ごなしに押さえつけていた部分もありました。しかし現代は、インターネットを通じて誰もが容易に情報を得られる時代です。SNSなどで他社の状況を知り、労働基準法などの知識もしっかりと持っているため、問題がより複雑化しやすくなっています。今後はAIの活用も進むでしょう。
私たちはどんな問題であっても「初期消火」が重要だと考えています。早く動くほど問題は大きくならず、短期間で解決できます。それは人事労務の問題に限らず、絶対的な法則です。見て見ぬふりをして「自然鎮火」を待つ経営者も少なくありませんが、放置した末に、どうにもならなくなってからご相談いただくことも少なからずあります。「もっと早いタイミングで相談してくれていれば、別の対応ができたのに」と悔しい思いをすることがあるからこそ、迅速な対応の重要性を日々お伝えしています。「こんなことを相談していいのか」という段階でぜひご相談いただければと思います。
ルールは運用してこそ意味がある
就業規則を作成したいというご相談も多く承りますが、私が常に申し上げているのは、「就業規則作りはゴールではない」ということです。
例えば、副業を許可制にするというルールを設けたにもかかわらず、勝手に副業をしている従業員を見て見ぬふりをしてしまえば、その就業規則は意味を持ちません。就業規則は運用してこそその真価を発揮します。
また、従業員の皆さんが就業規則の中で最も注目するのは「休日」と「給与」の項目です。例えば、就業規則に残業代の計算方法が明記されているのに、実態は異なる独自ルールで計算し、「今までこれでやってきたから」で済ませてしまうと、深刻な賃金未払い問題に発展しかねません。
目的を持ってルールを定めたなら、実態をどうやってルールに合わせていくか、その運用をサポートするのが私たちの重要な役割です。
人に興味を持ちデータから異変を察知する
労務トラブルを未然に防ぐためには、日々のデータから兆候を読み取る力が求められます。例えば、遅刻や早退が多く勤怠が安定しない人や、残業が極端に多い人は、生活面であったり、メンタル面であったり、何らかの問題を抱えていて、トラブルの可能性を秘めています。
私たちは給与計算を任せていただく中で、単に「今月は15日欠勤なので給与は半分です」と機械的に処理するのではなく、「なぜ15日も休んでいるのか?」と想像を巡らせます。そこで顧問先に「Aさん、最近欠勤が多いですが大丈夫ですか?」と声をかけられるかどうかが分かれ目です。
その質問をきっかけに、「実はメンタルを病んで休職してもらった」といった事情を把握できれば、次に同じような事象が起きた際や、復職後に残業が増えた際に、より踏み込んだアドバイスが可能になります。
顔はわからなくても、データを通じてその会社にいる「人」に興味を持つことはできます。経営者や人事担当者がポロリとこぼす些細な言葉にも関心を持って、「その後、あの件はどうなりましたか?」と気遣えるかどうか、そうやって人に興味を持ち、向き合い続けることが、私たちの業務の本質だと信じています。
経営者の判断をサポートする存在として

私たちの事務所では「クイックレスポンス」を徹底しています。どんな些細な質問であっても先延ばしにせず、可能なかぎりその日のうちに回答を返します。お客様が質問してくださるからこそ、私たちは現場の課題を知ることができ、パフォーマンスを向上させることができます。
言いづらいことでも相談しやすいように、ふだんから空気づくりに気を配り、たとえ過去にお伝えした内容であっても「以前に回答したとおり」と突き放したりせず、丁寧に対応することを心がけています。
人事の問題に絶対的な正解はありません。相手が感情を持った人間である以上、同じ指導をしても改心する人もいれば、予想外の反発を見せる人もいます。ハラスメントと適切な指導の境界線についても、単純に「これはダメ」と言うのは簡単ですが、実務の現場に落とし込み、感情論ではなく合理的な理由を説明することが「指導」なのだと伝えています。
例えば、問題を起こした従業員を、感情的にすぐに解雇したいという相談に対しては、会社側のリスクを整理したうえで、指導→配置転換等の検討→懲戒→退職勧奨までを段階的にサポートさせていただく機会も多いです。
経営者の皆様が孤独な意思決定を迫られていることも理解しています。最終的な経営判断は社長にしかできないのですから、私たちが入り込みすぎて判断を誤らせることはあってはなりません。
しかし、最善の判断を下すための選択肢やリスクを進言し、意思決定をサポートできる存在でありたいと思っています。
そうした当たり前の環境整備を通じて、自分一人ではできないことを担ってくれる従業員を大切にする。私たちはそれを全力でサポートしてまいります。