作成日:2026/10/02
給与計算担当者が退職することになったら?労務管理の体制を見直すためのポイント
「給与計算を担当していた社員が退職することになった」
「これまで担当者に任せていた給与計算を、これからどうしていこう?」
「せっかくなので、この機会に労務管理の体制を見直したい」
給与計算の担当者が退職するとき、会社としては引き継ぎや後任者の検討など、さまざまな対応が必要になります。
一方で、担当者の退職は、これまでの給与計算や労務管理の体制を見直し、より効率的な体制をつくるきっかけとも考えられます。
今回は、給与計算担当者が退職することになった場合に確認しておきたいことと、今後の労務管理の体制を整えるための選択肢について解説します。
1.まずは、現在の業務を整理する
給与計算の担当者の退職が決まり、まず行いたいのが、現在どのような業務を担当しているのかを整理することです。給与計算の担当者が、実は給与計算以外の業務も担当しているというケースは少なくありません。
担当している業務を洗い出すと、次のようなものが考えられます。
- 勤怠データの集計・確認
- 毎月の給与計算
- 給与明細の発行
- 入社・退社時の給与処理
- 賞与計算
- 年末調整
- 社会保険・労働保険の手続き
- 従業員からの給与に関する問い合わせ対応
まずは担当者が行っている業務を一覧にしてみましょう。業務を見える化することで、
「この業務は社内で引き継ぐ」
「この業務は別の部署に移す」
「この業務は外部に任せる」
といった整理がしやすくなります。
2.担当者の退職は「業務の属人化」を見直すチャンス
給与計算を長年担当している社員がいる場合、その人が中心となって業務を進めていることがあります。経験のある担当者がいることで、毎月の給与計算がスムーズに進んでいる会社も多いかと思います。
ただし、担当者が変わるタイミングでは、「給与計算のルールを、他の人も把握できているか?」を確認してみることをおすすめします。
特に確認したい点としては、
- 手当の計算方法
- 勤怠データの確認方法
- 残業代の計算方法
- 給与ソフトの設定
- 社会保険料の処理
- 年末調整の進め方
などです。給与計算のマニュアルがなかったり、担当者が独自のエクセルで管理しているケースでは、業務の属人化が進んでいる可能性があります。
担当者の退職を機に、こうした情報を整理しておけば、今後の引き継ぎがしやすくなり、安定した労務管理の体制をつくることができます。
3.給与計算の今後の体制を考える
担当者が退職すると、「誰が給与計算を引き継ぐのか」を考えることが一般的です。
一方で、このタイミングで一度、「給与計算を社内で行い続ける必要があるのか?」を考えてみることも一つの方法です。
今後の体制としては、大きく次の3つが考えられます。
- 社内で引き継ぐ
- 現在の業務をそのまま社内で継続する方法です。既存の社員が対応できるのであれば、新しい体制を構築しやすいというメリットがあります。
- 新しい担当者を採用する
- 給与計算や労務の経験者を採用して、社内で業務を行う方法です。社内にノウハウを蓄積しやすい一方、採用・教育には時間が必要になります。
- 外部に業務を委託する
- 給与計算や社会保険手続きなどを、社会保険労務士などの外部専門家に依頼する方法です。社内の業務量を減らしながら、専門的な業務を安定して進められるというメリットがあります。
4.給与計算の外注で社内業務を効率化する
給与計算は毎月必ず発生する業務です。そのため、担当者が退職するタイミングで外部委託を検討する場合は、単に「担当者の代わりを探す」という視点だけではなく、「社内の担当者が、より重要な業務に時間を使えるようにする」という視点で考えてみるとよいでしょう。
給与計算を外部に委託することで、社内の担当者が、人事制度の整備・労務環境の改善・社員からの相談対応・人材育成・採用活動など、より重要な業務に時間を使えるようになる可能性があります。
「給与計算を外注する」というよりも、社内の人材をどの業務に集中させるかを考えるということです。
また、給与計算担当者が退職する際には、給与計算だけでなく、関連する業務についても同時に見直してみるとよいでしょう。
見直しの対象となる業務には、
- 給与計算
- 賞与計算
- 年末調整
- 社会保険手続き
- 労働保険手続き
- 勤怠管理
- 労務相談
などがあります。
もちろん、すべてを外部に委託する必要はありません。会社の規模や社内の人員、業務量などに応じて、「社内で行う業務」と「外部に任せる業務」を整理することが重要です。
5.担当者の退職前に進めたい業務の引き継ぎ
給与計算の外注を検討する場合は、担当者が退職してから慌てて委託先を探すのではなく、退職前から準備を進めておくことをおすすめします。
「○月に担当者が退職する予定なので、それまでに業務を整理したい」という段階から相談しておくことで、現在の業務内容を確認しながら、無理のない移行スケジュールを検討しやすくなります。特に、退職する担当者しか把握していない業務や例外的な処理方法がないかを確認しておくことが重要です。
移行は、次のような流れで進めることができます。
- 現在の業務内容を整理する
- 社内に残す業務・外部に任せる業務を決める
- 外部委託する場合の業務範囲を決める
- 必要なデータや資料を整理する
- 引き継ぎ・移行を行う
- 新しい体制で給与計算を開始する
担当者が持っている知識やノウハウを、会社の仕組みとして整理していく機会にもなります。
6.担当者の退職を「より良い労務管理の体制づくり」のきっかけに
給与計算担当者の退職は、会社にとって大きな変化です。しかし、それを単に「後任者を探さなければならない」という問題として捉える必要はありません。
これまでの業務を整理し、
- 本当に社内で行う必要がある業務は何か
- 外部に任せられる業務はないか
- 特定の担当者に業務が集中していないか
- 社内の担当者には、どの業務に時間を使ってもらいたいか
を考えることで、これまでよりも効率的で、担当者が変わっても続けやすい労務管理の体制をつくるきっかけにできます。
「給与計算担当者が退職するので、どうすればいいか分からない」という場合も、まずは現在の業務を整理してみることから始めてみましょう。
給与計算担当者の退職でお困りの企業様へ

給与計算担当者の退職をきっかけに、給与計算や年末調整、社会保険手続きなどの業務を見直したい企業様は、ぜひ一度弊所までご相談ください。
「給与計算だけ外注したい」
「給与計算と社会保険手続きをまとめて依頼したい」
「担当者が退職する前に、現在の業務を整理したい」
など、会社によって必要なサポートは異なります。
現在の業務内容を確認しながら、社内で行う業務と外部に任せる業務を整理するところからご相談いただけます。
担当者の退職を機会に、これからの労務管理の体制を一緒に考えてみませんか。